あのバンクシーも、パレスチナに対するイスラエルの非道な行いにずっと前から物申していたってことなど。パレスチナについて思うこと・その1
Make hummus,not walls
「壁なんて作ってんじゃねえよ、フムス作れ」
日本でも大人気のバンクシーが、パレスチナの壁に描いたメッセージの一つだ。壁、と簡単に言っているけど、それはイスラエルがパレスチナの領土との境に造った「分離壁」のことで、今、大変なことになっているガザ地区もずっと前からこの分離壁で囲まれ、人々は自由に出入りできず閉じ込められている。今に始まったことじゃないのだ。だから「天井のない牢獄」だなんて言われてもいるわけで、イスラエルはこの分離壁をガザ地区だけでなくパレスチナの領土内のあちこちで、領土内にどんどん侵食して造っているのだ。境界線にではなくて、境界線の内側にどんどん入り込んで。
なのに大メディアは日本も欧米も、「壁が」とか「検問所が」とかサラリと書いて流しているだけ。そんな状況がずっと続いているから、バンクシーは抗議の意味を込めて「壁なんて作ってねえで、フムス作ってろ」と言ったのだ。
ベツレヘムのアイダ難民キャンプに続く分離壁。バンクシーの作品だけだけでなく、世界中の人たちが描いたイラストで埋め尽くされていたフムスとはご存じひよこ豆のペーストで、美味しいだけじゃなくてタンパク質などの栄養素も豊富なことから、最近はスーパーなヴィーガンフードとして人気が高い。これをイスラエル料理だとSNSに投稿したアメリカ人カリスマシェフがいて物議を醸したそうだけど、本来これはアラブ料理、つまりパレスチナの料理でもある。だからバンクシーはそのあたりのことも皮肉をたっぷり込めたのかもしれないね。
ちなみにバンクシーが全てデザインしたというホテルが、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区にあるベツレヘムにあって、私は2019年、そのホテルに泊まるため、という軽いノリでパレスチナと、そしてエルサレムなどイスラエル周辺を旅行した。その時のことを書いていこうと思う。
これがバンクシーのホテル。その名もthe walled off hotel(壁に囲まれたホテル)。ニューヨークにある超高級ホテルWardolf Hotelをもじったのは見え見え。ワタシ撮影たとえば今15歳ぐらいのガザ地区で生まれ育った少年少女たちは、生まれた時からガザから出たこともなければ、同じパレスチナ人が住む別の地域におじいちゃんやおばあちゃんを訪ねていくとかもできないし、多分一度も会ったこともない。どんなに優秀で高い教育を受けたいと思っても、ガザ内の学校にしか行けない。パスポートも持てない(!)から、海外旅行なんて当然未体験。失業率はガザ地区では50%近くて、仕事もなく、貧しく、将来も見えない。教育も与えられず、憎しみや抑圧や暴力に囲まれて育つ。
ハマスのやった絶対的に許されない暴力の裏側には、そういう背景がある。
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