動物がいてくれるおかげで、おいしいチーズやら肉料理やらが食べられるシアワセについて考える。

 


「CHEESE」へ行ってきた。

北イタリアはピエモンテ州のブラという小さな町で開催される、
今やチーズ界で最も大事で大規模なイベントとして知られる
チーズのお祭りだ。

今年は先週末の9月17日から4日間の開催。
2年に一度やっていて今年で13回目、つまり26年も前からやっているのだ。

毎回、イタリア国内を中心に世界中のこだわりチーズ生産者
(とチーズ以外の美味しいモノも)が
200も300も集まってオラが自慢を展示する。
バイヤーなどのプロも大勢やってくるし、
チーズ好きな一般参加者の人たちも町の各所に設営された
ブースをひやかしながら試食をしたり買ったり、
チーズへの知識を増やしたりして楽しむ。

ワインやビールやジェラートのブースもあるので、一日中でも、
開催期間中連日ぶっとうしで楽しむツワモノもいる。



   上3点写真提供: Latteria Bera dal 1958

コロナ明けの(だといいね!)今年は、
特に一般参加者がとても多くて、
熱心に生産者の話を聞く人たちが前回までよりも目立っていた、
と主催者側のレポートにあった。

17ヶ月に及んだパンデミックは、人々が、おいしいまずいだけでなく、
自分の口に入れるものがどこから、どうやってくるのか、どう作られているのか。
そういうことを考えるいいチャンスになったという話は、
このイベントに限らずあちこちで言われている。

そこでタイトルの
「動物がいてくれるからおいしいモノが食べられるシアワセ」という話だ。

CHEESEでは毎回テーマが設定され、
そのテーマに沿った講演会やワークショップも開催されるのだけど、
今年のテーマは「CONSIDERARE GLI ANIMALI 」。
直訳すると、動物のことを考慮する、みたいな感じだ。

動物がいてくれてこそ、おいしいチーズも、
もっといえばおいしい肉も食べられる。
だからもっと動物の命について考えようよ、
同じ地球に住み、大地を分かち合う動物同士なのに、
人間だけがおいしくてシアワセな思いをして、
牛や羊や豚(はチーズと関係ないけど)たちはケージに押し込められて、
痒い背中もかけず、横になることもできない過密飼育で、
死ぬまで辛い目に遭わされるなんておかしいじゃないか、
そんなことを考えながら食べてみる、そういうテーマだ。


   ↑標高2000mの牧草地ベッテルマットで作られる希少なチーズ「ベッテルマット」は
   ↓自由に放牧されたシアワセそうな牛たち↓のお乳から作られる。



  ↑そして仲間は草を食べてるのに、ひとり勝手にくつろぐヒト。

そういえば、CHEESEで扱われるのは
latte crudo=生のミルク、つまり非加熱殺菌の乳から
作られたものに限られている。

チーズ大国のイタリアやフランスでは、
非加熱ミルクで作られるチーズの方が、いいチーズ、
というか上質なチーズというか、そういう認識だ。
それぞれの動物、育った環境、食べたもの、生産者のこだわり、
といった特徴が加熱によって消されることなく、
味や香りにダイレクトに現れるからだ。

                    写真提供: Latteria Bera dal 1958

会場のブラという町は、スローフード協会が発祥した町
としても知られていて、このCHEESEも
スローフードが主催するイベントだ。
ピエモンテ州の州都であるトリノで開催されるスローフード大会と、
1年交代で開催されるというわけだ。
トリノはイタリア四番目の大都市だけど、
ブラは人口約3万人弱の小さな町。


                              ブラのduomo


             スローフード協会本部↓トレードマークのカタツムリが窓に。写真提供: Latteria Bera dal 1958

ピエモンテを観光に来るグルメな方たちから、
スローフードを見に行きたいとよく言われるけど、
外から見るだけでは全然普通のオフィスです。笑 
でも同じ建物内に、スローフードがおすすめしたことで
超有名になった「オステリア・ボッコン・ディ・ヴィーノ」がある。
ブラ名物の生のサルシッチャ他、ピエモンテの郷土料理がすごくおいしい。

(*サルシッチャ=豚肉で作られる生ソーセージのこと。
豚のものは、基本加熱して使う。ところがブラのサルシッチャは
牛肉製で、生で食べるのが真骨頂。生肉なのにスパイシーというおいしさ)


恥ずかしながら、zoomでCHEESE開催中のブラブラ中継をしました。
よろしかったら見てみてくださいね。



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