動物がいてくれるおかげで、おいしいチーズやら肉料理やらが食べられるシアワセについて考える。
「CHEESE」へ行ってきた。
北イタリアはピエモンテ州のブラという小さな町で開催される、
今やチーズ界で最も大事で大規模なイベントとして知られる
チーズのお祭りだ。
今年は先週末の9月17日から4日間の開催。
2年に一度やっていて今年で13回目、つまり26年も前からやっているのだ。
毎回、イタリア国内を中心に世界中のこだわりチーズ生産者
(とチーズ以外の美味しいモノも)が
200も300も集まってオラが自慢を展示する。
バイヤーなどのプロも大勢やってくるし、
チーズ好きな一般参加者の人たちも町の各所に設営された
ブースをひやかしながら試食をしたり買ったり、
チーズへの知識を増やしたりして楽しむ。
ワインやビールやジェラートのブースもあるので、一日中でも、
開催期間中連日ぶっとうしで楽しむツワモノもいる。
コロナ明けの(だといいね!)今年は、
特に一般参加者がとても多くて、
熱心に生産者の話を聞く人たちが前回までよりも目立っていた、
と主催者側のレポートにあった。
17ヶ月に及んだパンデミックは、人々が、おいしいまずいだけでなく、
自分の口に入れるものがどこから、どうやってくるのか、どう作られているのか。
そういうことを考えるいいチャンスになったという話は、
このイベントに限らずあちこちで言われている。
そこでタイトルの
「動物がいてくれるからおいしいモノが食べられるシアワセ」という話だ。
CHEESEでは毎回テーマが設定され、
そのテーマに沿った講演会やワークショップも開催されるのだけど、
今年のテーマは「CONSIDERARE GLI ANIMALI 」。
直訳すると、動物のことを考慮する、みたいな感じだ。
動物がいてくれてこそ、おいしいチーズも、
もっといえばおいしい肉も食べられる。
だからもっと動物の命について考えようよ、
同じ地球に住み、大地を分かち合う動物同士なのに、
人間だけがおいしくてシアワセな思いをして、
牛や羊や豚(はチーズと関係ないけど)たちはケージに押し込められて、
痒い背中もかけず、横になることもできない過密飼育で、
死ぬまで辛い目に遭わされるなんておかしいじゃないか、
そんなことを考えながら食べてみる、そういうテーマだ。
そういえば、CHEESEで扱われるのは
latte crudo=生のミルク、つまり非加熱殺菌の乳から
作られたものに限られている。
チーズ大国のイタリアやフランスでは、
非加熱ミルクで作られるチーズの方が、いいチーズ、
というか上質なチーズというか、そういう認識だ。
それぞれの動物、育った環境、食べたもの、生産者のこだわり、
といった特徴が加熱によって消されることなく、
味や香りにダイレクトに現れるからだ。
としても知られていて、このCHEESEも
スローフードが主催するイベントだ。
ピエモンテ州の州都であるトリノで開催されるスローフード大会と、
1年交代で開催されるというわけだ。
トリノはイタリア四番目の大都市だけど、
ブラは人口約3万人弱の小さな町。
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