#トリノよいとこ一度はおいで その3「アンティケセーレの世界一のパンナコッタ」
イタリアでのロックダウン解除後初めて、
自分の住むピエモンテ州から外へ、2泊3日で出かけていて、
目指していた最低週1の更新サボってしまいました。
スミマセン。
イタリア猛暑の中、特に暑くて悪名(?)高い
パダナ平原のエミリア・ロマーニャ州モデナは、
パルミジャーノ・チーズやバルサミコ酢、そして
フェラーリやマセラッティの生まれ故郷だ。
エミリア・ロマーニャ州といえばパルミジャーノ・チーズ。生産者の所にいたかわい子にゃん。
もちろん私が目指したのはスーパーカーではなくて、
世界最高峰レストランの一つ
「オステリア・フランチェスカーナ」。
でもその話はまた別の機会にして、
今回もトリノの「オステリア・アンティケセーレ」第2回、続きます。
前回はアンティケセーレの前菜の数々が、
どれだけ美味しいかという話で3000文字も書いちゃった。
https://www.madamin2.me/2020/06/blog-post_29.html
ちなみに最近、noteでも同じ内容で更新してるので、
見やすい方で読んでくださいね。
https://note.com/miyamoto_madamin/n/n0dbcae6c2199
さて、その前菜たちに比べると、
パスタ類はポテンシャルがちょっと下がる。
と言っても「比べるとちょっと下がる」だけで、
パスタ類もほっこりとした味わいで、マンマなおいしさは健在。
ピエモンテ州の手打ちパスタ「タヤリン」の、
サルシッチャ(生ソーセジ)をほぐして作ったミートソースあえとか、
季節野菜(アスパラガスとかポルチーニとか)のソースとか。
秋にはフレッシュ ポルチーニを使ったタヤリン(タリオリーニ)が食べられる
それからピエモンテ風肉詰め入りパスタ「Agnolottiアニョロッティ」
(ラビオリ)は、スーゴ・ディ・アロースト(ロースト肉を作った時の
グレービーソース)であえてある。香味野菜と肉の旨味が
とろとろに溶け出して混ざり合った、
イタリア人が大好きなソースだ。
それからジャガイモのニョッキはトマトソースか
ゴルゴンゾーラのソースであえたヤツ。
胃袋のキャパの関係上、
どうしても優先順位をつけなきゃならないなら、
前菜とデザートは絶対マスト、そして肉料理、パスタの順番かなあ。
(お財布のキャパを心配するなら、
ここはフルで食べて飲んでも一人50ユーロぐらい)
この店のセコンド料理は、海のないピエモンテの
郷土料理店ということで魚はなくて、ほぼ100%肉料理のみ。
その中で私のイチ押しは
「Stinco di maiale al forno
スティンコ・ディ・マイアーレ・アル・フォルノ」
豚のスネ肉 オーブン焼き。
前回に引き続き、写真がプロ級にうまい赤間博斗シェフからお借りしたスティンコのカット。いつも私に出てくる時より野菜なんかのって
キレイに盛り付けされているのは、シェフへの一皿だからか? ギャートルズ風でなくて残念。
はじめ人間ギャートルズのお肉みたいな風貌のそれは、
醤油使ってない? と勘ぐりたくなるほど、
香味野菜をしっかり焼いた、いい味といい色がのった豚のすね肉、
ナイフを入れるとするり、と骨から外れるほどよく火が通ったひと口は、
ジューシーで甘しょっぱく、とびきりおいしい。
付け合わせには、トロトロに焼けたポテトのオーブン焼きがぴったり。
そして「Coniglio al vino bianco
コニッリョ・アル・ヴィーノ・ビアンコ」
うさぎの白ワイン煮込み。
クセのない白身のうさぎ肉に、塩と香味野菜とワインで
煮込んだ味がしっとりと染みている。
マンマの料理だから、おしゃれなソースやデコレーションは
まったくなくて、そっけない見かけが、
逆に期待感をますます盛り上げる。
このソースだけでご飯が3倍食べられる。笑 写真:赤間博斗シェフ
うさぎというと、臭いんじゃない? と引く人がいるけれど、
匂いが強烈なのはジビエの野うさぎ=イタリア語でレープレ。
一方、養殖うさぎのコニッリョは、
言われなければ鶏肉と見分けられる人は少ないと思う、
あっさりと優しい味だ。
もちろん私も見分けられない。笑
さて。アンティパストを堪能して、セコンドも食べたら、
どんなにお腹がいっぱいでも、
最後に食べなければここに行く意味がないものがある。
それは。
世界一と言われるパンナコッタだ。
誰が世界一と言ったかというとたぶん私なんだけど(笑)、
とにかくおいしい。こんなエピソードがある。
もう何年も前に、日本の某食企業の偉い人が、
トリノに視察に来たいというので
「じゃあ、世界一のパンナコッタを食べにお連れいたします」と
日本にメールを送った。
その方は内心、なーにをトリノあたりで、と思われたのか、
当時東京一と言われていた東京の某高級ホテルのパンナコッタを
イタリア出発前に食べていらしたそうだ。
「くらべてやろうと思ったんですよ」とは後で白状してくれた話。
でもアンティケセーレのパンナコッタを食べたら、
全然違います! 驚いた! ごめんなさい!!
としきりに恐縮して、そして感動していらした。
そしてついには、レシピを買い取って日本で商品化したいという
プロジェクトまで飛び出したのだが、
いろいろな事情が絡んで、実現はしなかった。
これはピエモンテのデザート「ザバイオーネ」。卵黄に砂糖とマルサラ酒を入れて泡立てただけのシンプルデザート。
卵酒風でもある。ビスケットですくってビスケットごと食べるのが王道。写真はトルチェッティという、やっぱりこれもピエモンテ
のビスケット。
でもそれぐらい、おいしいということ。
私はその企業の方の通訳として同行し、
作るところを一緒に見ていたし、レシピも見たけれど、
拍子抜けするほど作り方は普通だった。
ピエモンテ州はアルプス山脈のお膝元だから
乳製品の質がいいというのはあるけれど、
でもあのパンナコッタの材料は、スーパーで買ってくる
普通の生クリームと普通の牛乳、その他の材料も全然普通のものばかり。
なのに何故あんなにおいしいのかわからない。
似たような配合で似たようなおいしさには作れるけれど、
何かがちょっとだけ違う。何だろう、何だろうと思いながら、
毎回行くたびに食べている。
型から外してお皿にドン、と出しただけのパンナコッタは、
立っていられるギリギリの柔らかさで、
お皿を動かすとブルンブルンと揺れる。
他にもピエモンテのデザート「ザヴァイオーネ」や「ボネ」など
いろいろデザートあるけれど、
有無を言わさずパンナコッタ一点買いがおすすめです。
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