ロックダウン解除へ 続・コロナウィルス5




4月26日(日曜日)

感染者の増減を表すグラフは右肩下がりになってきていて、
今日治癒した人の数は1808、
死者数はついに260と、300を下回った。

まだまだたくさんの方が亡くなっているには違いはないけれど、
死亡者が300人を切るのは3月15日以来と聞くと
気持ちが明るくなる。
1000人にも迫る数字が毎日テレビから流れてきた
あの、恐ろしくて暗い日々を思い出す。

そして今日、ついにロックダウン解除に向けた
法令が発表された。

今は自分の住む市町村内でしか移動できないのが、
5月4日からは州内であればよし、という限定付きで移動が可能になる。
イタリアにはミラノを州都とするロンバルディア州、
フィレンツェが州都のトスカーナ州、
ローマが州都のラツィオ州など20の州がある。

私の住むピエモンテ州の中のトリノ市は、
面積は約130キロ平方メートル。
東京で一番大きな区は大田区だそうで約60キロ平方メートル。
トリノに限って考えると、結構広い範囲を移動できるということだ。
イタリアで4番目に大きい都市だからね。
もちろん、小さな町に住んでいる人は
その小さい範囲しか移動できない。


  トリノの中心を流れるポー川には、いくつも美しい橋がかかっている。

市町村内を自由に移動できる、とはいっても、
コロナ以前のように好き勝手に外出できるわけではなくて、
引き続き外出するには理由が必要。
自己申請書類も必携。

今までも許可されていた
「食料品の買い出し」「薬局へ行く」
「健康上の理由」
「仕事などどうしても必要な場合」
に加えて、

ー「親戚を家に訪ねる」 今までは家族であっても、
同じ家に住んでいなければ会いに行くこともできなかった。
例えば結婚した娘や息子や、年老いた両親が
500m先のご近所の、別の家に住んでいてもダメだったのが、

OKになる。もちろん、会う時には距離を置いてマスクをして、
などの注意は怠らないことが大前提。

でも誰もチェックする人はいないんだから、
会いたかった気持ちが爆発して、
ハグしまくりそうだ。
何せラテンの血が流れているイタリアの人たちは、

感情を行動やジェスチャーやスキンシップで
たっぷり表さなといられない。

例えばずいぶん前に、日本に2年ぐらい帰れなかったことが
あった。母に会いたいなあ、会ったらギューって
抱きしめちゃおうかなあ、と思っていた私は、
日本の地面を踏んだ途端に照れ臭くなり、
数歩離れたところから母に、

ああ、ただいま、元気そうね、なんて
典型的な日本人として挨拶したのだった。

そんな私たち日本人とは全然違う人たちだってこと。
そのせいで感染が爆発的に広がったとも
言われているけれど。

話は元に戻って、5月4日からできることの続き。

ー「テイクアウトを買いにいく」
 今まではレストランやバールもデリバリーのみだったのが、
こちらから買いに行くのもOK。
ー「公園に散歩やジョギングに行く」
 今までは自宅から200m以内に限り犬の散歩など許可されていて、
公園は閉鎖されていた。

などがOKになる。


  雄大なドロミティ渓谷に囲まれた、トレンティーノ・アルト・アディジェの小さな村

それから
ー「お葬式は15人までの参列者に限り許可」
 ただし大勢が集まる教会でのミサはもう少しお預け
ー「プロのスポーツ選手はトレーニング再開許可」
ただし大勢集まるのは不可
ー「バスなど公共交通機関は乗車人数を制限して運行。
バス停での混雑を避けるため運行数を増強」

ただし感染状況がまだあまり良くない
私が住むピエモンテ州と、他いくつかの地域では
テイクアウトも引き続きだめ。
自分が暮らす州内であっても、
別荘(別宅)に移動するのはダメ、など厳しい制限がある。

だけど、こんなちょっとだけの「解除」でも、
とても明るい気持ちになれるのは私だけだろうか?
えー、たったこれだけ?と不満足の人もいれば、
まだ怖いから解除しないほうがいい、と思う人も
いるかもしれない。
私はといえば、
嬉しいのと、怖いのが入り混じった気分かな。

一方、引き続き州の外へは行けない。
つまり私がミラノにお買い物へ行くとか、
シチリアに取材に行く、なんていうのは
まだまだ先のお話。

5月18日からは美術館、商店などが営業再開。
やったー!
スポーツチームでのトレーニングも再開。
そしてレストラン、バールなどは6月1日から、
学校は9月からと決まった。


北イタリア東部で美味しい白アスパラガスは、今頃がちょうどシーズン。

ただしこれも、感染状況を見ながらということ。
万が一、緩めたことでまた感染者が増えたりすれば
元の木阿弥、再びロックダウンもあり得るということだ。
そんなこと、絶対になりませんように。

4月27日(月曜日)

昨日、コンテ首相が記者会見をして、フェーズ2、
つまりロックダウン解除後の措置を発表した数時間後、
「親戚に会いに行くのは許可。その”親戚”の中には、
婚約者やステディな恋人も含まれる」という追加ニュースが。

イタリア中のたくさんのロミオとジュリエットが
1ヶ月以上会うことができなくて辛い思いを我慢したご褒美?
イタリアらしい、かわいい計らいにちょっと笑ってしまったけど、
でもどうやってステディかどうか、判断するんだろう?

恋人に2ヶ月近く会えていない娘は
「嬉しいけど、変な規則だ!」と怒っている。
「じゃあ、私が女友達に会いに行って、
私たちはレズビアンですけど、真剣に付き合っているステディです、
って言えるじゃん! みんながそんなふうに出歩けるじゃん」という。
昭和生まれの母にはびっくりする発想だけど、
たしかにその通りだ。

今日は死者数がまた少し増えてしまって333人
でも治った人1,696人、
ICUの入院患者数は3月16日以来2000人を下回る1,956人。
総感染者数は昨日より290人減って105,813人。


 シチリア・タオルミーニの海。こんな海に早く、また行きたいな


4月28日(火曜日)

ロックダウンが徐々にでも解除になって、
わーい! と喜び勇んで飛び出したいような嬉しさと、
大丈夫かな? 感染しないかな? と
心配で怖い気持ちが揺れ動く。

いつもなら夏休みの計画を立てて、
旅行の手配を始めるのは遅いぐらいだけど
観光地や海辺の人混みで、怖がりながら過ごすぐらいなら
行かないほうがマシなのでは? 
いやいや、そんなこと言ってないで、
どんどん出かけて経済を盛り立てないと、という気持ちとか。

どちらにせよ、
常にマスクをして、人と人の距離を保ってという
窮屈に変わってしまった日常だ。


   シチリア・マルザメーミの海辺の町

例えばトリノの市場ももうすぐオープンするけれど
「コロナマネージャー」なる役割の人が出現して
熱があるかどうかをチェックし、
距離を開けて並ぶように誘導したりするそうだ。

ちなみにトリノ市内には66もの市場があって
その中でもポルタ・パラッツォという市場は
ヨーロッパでも1、2を争う規模の常設青空市場だ。
生鮮食品から家庭用品、洋服なんかも売っている。

トリノの人は、私も含めて、質のいい、新鮮な野菜や果物、魚を
手頃な値段で買うなら市場、と考える人が多いから
コロナ以前は毎日毎日、市場はとても賑わっていた。
大きい市場になれば、同じような野菜や果物を扱う
屋台はたくさんあって、その中から自分が気に入った
屋台を決めている人も多かったと思う。


 トリノのポルタ・パラッツォ市場

人が順番を待っていようがお構い無しで
馴染みの客とおしゃべりに興じたりして、
そこへまた別の馴染み客が加わって
おしゃべりが盛り上がる。
そんなところへ出くわしたらアンラッキー、
待たされてイライラ、でもこれがイタリア、
と諦めるしかなかったのだけど、
そんな風景も今は懐かしい。

これからはみんなマスクをして、
黙って、さっさと買って帰るんだろうか。


4月29日(水曜日)

今日は日本の友達とZOOM飲み会。
懐かしい友達の顔が見えて、おしゃべりできるのは
イタリアに住む私にとって、コロナ以降も続けて欲しい嬉しい習慣。
ただ日本の時間に合わせると、
マイナス7時間の時差がある(冬は8時間)イタリアの私は
真昼間から飲むことになるんだけど、
楽しいから、まあ、いいよね。

楽しいズム飲みとは別の話で、アルコールの消費量は
イタリアでもぐっと上がっているそうだ。
長い間の引きこもり生活は辛くないわけがなくて、
アルコール中毒とか、メンタルな問題が
起きている人も多いだろうってことは
簡単に想像がつく。

昨日読んだ、イタリアのある女性医師が
海外メディアのインタビューに答えた記事。
彼女を含む医療スタッフたちの中には、
オムツをつけて仕事をしている人がいるということ。

トイレに行くためには、防護服や手袋、
マスクを外さなければいけないけれど、
一旦外したものは、汚染の可能性があるから破棄しなければいけない。
でも防護服などの備品は圧倒的に不足していて、
自分が多く使えば使うだけ足りなくなって、
仲間に感染の危険が及ぶ可能性がある。
だからトイレに行かなくて済むようにオムツをするのだという。
これは中国の医師たちもしていたということ。

実際には、水を飲んだり何か食べたりする時間もないし、
汗だくになるのでトイレに行きたくなることはほとんどない、というコメント。
命の危険も尊厳も、いろんなことを犠牲にして
戦ってくれている人たち。
本当に頭がさがる。

4月25日の時点で、コロナウィルスで亡くなった医師の数は
150人にも登ってしまった。


  シチリア・マルザメーミで食べたムール貝とボンゴレのパスタ。何も心配もなく、こんなのがまた食べられる日が来て欲しい。

4月30日(木曜日)

今朝のニュースで、カラブリア州が政府の発表を
無視して、今週にもレストラン、バールをオープンするという
(ただしオープンエアで)。
確かにICU入院患者6人(全イタリアで1,694人、
一番ひどいロンバルディア州では605人)
軽症入院者105人(同18,149人、6,834人)
自宅隔離者629人(同81,708人、28,772人)という
データを見ると、気持ちはわかるよー、と
言いたくもなる。
身の回りにいない感染者の心配よりも
食べていけないことの方がずっと深刻なのに
決まっている。

でも、カラブリアのようなことを言い出す州が、
じゃあ、俺も俺も、とどんどん増えていって、
そして感染者数が再び増加したりしたら
大変なことになる、と政府は考えたのだろう。
夕方のニュースでは、
カラブリアの州知事が今日中に撤回しない場合は
警告処分(?)を発令するということ。

国のリーダーたちの間でさえこうなんだから、
普通の人が、自分勝手に行動してしまうのは
目に見えている。
経済が持たないから早く開けよう、
仕事を始めようという人。
友達と集まって外で騒ぎたくてたまらない、という人。
感染の第2波が怖いから、ロックダウンが終わっても
閉じこもっていようという人。

イタリア全国に適用されるロックダウン解除の法令では
6月1日にはレストランもバールも営業開始し、
学校を除けば全てが元どおりオープンになる
ことになっている。
(学校は今学期、つまり今学年は
このまま終了することが先日決定した)

現在の感染者数  101,551人
死者数合計  27,967人 (今日 285人)
回復者合計  75,945人 (今日4,693人)



















コメント

  1. さやかさん、はじめまして。
    こんにちは。お便りさせていただきます。
    ブログからはコロナ生活のイタリアの人々の細やかな様子や経過を知ることができ興味深く拝読させていただいております。ありがとうございます。
    陽気で明るいイタリアの皆さんが窮屈な生活を強いられるのは、とてもつらい事でしょう。(いや、このコロナでは全世界の人々がつらい事ですね)
    以前ベニスで宿泊したお宿のマダムもどうしておられるだろうかと気になります。この春再宿泊の予定をしておりましたが取りやめとなりました。
    「続・コロナウィルス4」の4/21コメント以降の記載をしばらく見られずコロナ?と心配しておりましたがお変わりないご様子安心いたしました。
    感染が爆発的に増大した国々でも良い方に向かっているようですが、日本はその逆でまだまだ先が見えません。
    更新ブログでイタリアの明るい内容に触れることができ、希望が持てたような気がいたします。
    2年振りのお母さまとのご対面、ギュッと抱きしめようと思っておられたのに、日本の土を踏んだとたん日本人気質に戻ってしまわれたのですね。その照れ臭さ分かりますね。その時のお二人の様子を思い浮かべほっこりしました。
    ワクチンや特効薬が開発されたり、あるいは多くの人々がが抗体を持つようになるまで長期戦となるでしょう。であるならば、その時々の状況を受け止め、最善の行動をストレスを感じることなく自然体でできるようになりたいなあと思っているところです。
    イタリアの生の様子、経過をこれからも宜しくお願いいたします。
    ご無理なさらずご自愛くださいますよう。
    midoriより

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    1. Midoriさん、返信がおそくなってごめんなさい! コメントが入ったらメールでお知らせが来るように設定していたのですが、お知らせが入りませんでした。また心配させてしまったでしょうか? ヴェネツィア旅行、取りやめになさったのですね。早く特効薬やワクチンが世界中に行き渡って、また安心して自由に海外旅行ができる日が来るのが待ち遠しいですね。
      いつも読んでくださっているようで、ありがとうございます。これからもよろしくお願いします。いつかイタリアですれ違うこともあるかもしれないですね❤️

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